北海道再び

 2013年の北海道の学会に際して取ったメモを元に、またもや適当なことを書き散らしています。


計画から前日

 北海道である。飛行機を使わないといけないだろう。
 だが、学会発表のスケジュールがなかなか見えてこなかったため、安全策で前日入りで計画を立てざるを得なかった。前回の反省から、飛行機や駐車場の予約を考えると、9月の学会でも7月に入る前にはいろいろ動かねばならない。最終日も、発表時間によっては当日には帰れない。よって必然的に翌日の飛行機を予約したほうが安全であると考えた。

 そしてこの予感は的中する。
 発表時間帯は最終日の最後の夕方の時間帯であった。
 ちょっと勘弁して欲しいと思った。思ったが仕方がない。

 数日間留守にすることもあり、妻と2歳の子供は和歌山の実家にいったん戻ってもらうことにしている。妻は二人目の子供が中にいるためお腹が大きく、やや早いがそのまま里帰り出産という段取りである。

 そう、前回の北海道から今回の北海道までの数年の間に、この男はなんと結婚などをして、しかも子供ができていたりもした。生活も大きく変わった。
 されども、地方に出張に行くとカプセルホテルに泊まり、カレー屋を探して食べ歩くという行為自体は相変わらずであった。

 前々日まで学会発表の資料が仕上がらない。結局夜半までかかり、例のごとく直前にどたばたし、いろいろ忘れていることが多いのではないかと心配しつつ、準備をし、なんとか朝4時ころに眠る。

 翌朝?は8時過ぎに起き、シャワーを浴び、ご飯を適当に食べて車で出かける。
 今回は浜松西インターの駐車場を確保していたため、バスに乗るところまでは車である。事前に予約さえしておけばそれなりに便利である。11時過ぎにはe-wingの駐車場に車を残して待合に向かう。自販機でアイスコーヒーなど少し飲む。
 そこから90分をかけてセントレアに向かう。前回も感じたことだが、風景の緑が深い。高速道路がそういうところを選んで通っているためではあろうが、鹿やサルの警告を見るのはなかなかすごい。しかしバスの中は酔うので本を読むわけにも行かず、暇だった。

 セントレアにて、時間があったのでとりあえず昼飯とする。刀削麺のお店でトマトと卵のラーメン、そして水餃子をいただく。うまいと思う。そして落合監督の『采配』を読む。なかなか面白い。戦術家というより戦略家に近いタイプだ。
#だが、なぜかこの後から腹の調子がおかしくなり、しつこく続くのであった。
 原因はアイスコーヒーか空港の麺かいずれかであろうと推測されたが、詳細は未だにわからない。

 さて時間がきて乗り込み、ジェット機で札幌へ。時速950キロ、気温マイナス50度、高度12500メートルの旅であった。のんきに座って『采配』を読んで過ごす。こういうことが当たり前にできている現代の科学技術と産業はすごいよなあ。これからもっとすごくなるのだろうなあ。などと思う。

 新千歳空港に着き、そのまま間をおかずに列車に向かうのは前回と同じである。手荷物は少ないほうが良い。しばらく待っていると列車があっという間にいっぱいになる。これで座れないのは自分の体力では正直つらいので、この素早い機動対応は必須である。

 満員となった列車で札幌に向かう。札幌駅で降り、地下鉄南北線ですすきのに向かい、前回と同じ「リフレ」に泊まる。これも2ヶ月前に予約済み。フロントでチェックインの際に、数年前の自分のデータが残っていたのに驚く。

 一休みしてから、調べてあった近くのスープカレー屋である『GARAKU』に向かう。すごい人で、階段で30分ばかり立って待ち、上がった椅子でさらに15分ばかり待ってようやく席に着く。大変な人気である。個人的には待っている間の足の痛みも大変なものである。旅の後でこうした「立って待つ」行為を行うのは大変つらい。そして辛い(つらい)は辛い(からい)につながる。
 ともかく席に着き、角煮カレーを頼む。とても良い。前回食べ歩いたときのスープカレー群よりも明らかに進化していると思った。肉系のだし味と魚のだし味がスパイスとマッチして、食べていてうれしいカレーだった。行列ができる理由はたしかにあるのだろう。

 宿に戻り、風呂に入る。サウナが程よく熱い。風呂を出て、出張に行くごとに、いろいろな場所で数年かけて毎回少しずつ読んできていた『Hunter x Hunter』を、ついにグリードアイランド編の終わりまで読み、1時ころに寝る。面白い。


初日

 翌朝、7時過ぎに起き、軽くサウナなどに入り、朝食をとり、会場に向かう。地下鉄東西線で東札幌に向かい、しばらく歩くと会場にたどり着く。

 第78回日本心理学会である。
 今回は大学ではなく市のコンベンションセンターのようなところを借りて行われている。事前登録をしておけば当日は名札に名前を書くだけで済む。

 まず、脳の部位間の相関についての講演を聴く。ノーマルとシゾフェルニアのデータの相違はたしかにありそうだと思った。しかし、あらかじめROIを決め打ちしてしまうのはどうかと言う気がした。脳の全体を調べて、必要なところを自動的にピックアップしてくれるシステムが必要だと思った。
 その後ポスターに出向き、いくつか見る。面白かったのは、閾下知覚で提示したパラパラマンガに対して、IATを使ってキャラクターへの好感度を調べると、ランダムに提示した群に比較して、きちんとした順序で見せた群はそのマンガの内容にマッチした好感度を示した、と言うものだった。これはすごいのではなかろうか。興味がありそうなうちの学生に追試させてみたい。提示ディスプレイを今時ブラウン管にしなければならないというのが問題だが。

 古巣の後輩などに会い、立ち話をする。昼になって、自分は別れて一人で少々足を延ばして地下鉄に一駅乗り、多少歩いて「無水カレー」の店に行く。なかなかコクのあるチキンカレーであった。ゴマとバナナのラッシーも良い。
 会場に戻る途上、2つのスーパーマーケットに寄ってみる。魚介類は新鮮で2割ほど安いが、果物がやや高く、肉はあまり変わらない印象であった。意外にもスープカレーのレトルトは売られていなかった。そういうものなのだろうか。

 戻って少し休む。ここまでで9000歩も歩いているのだ。普通はまず歩かない歩数である。

 3時から記憶と欝の話を聞く。
 内容としては「ネガティブな記憶」の検索を抑制して、うつ状態の軽減に役立てる、という印象であった。そこで何か妙なものを感じて途中で抜ける。
 脳においてはハードウェアとソフトウェアは切り離して考えにくいところがある。たとえば液性情報はハードウェアなのか、ソフトウェアなのか、判断が難しい。ニューロン内部のたんぱく質生成の代謝回路はどちらだろう。そもそも遺伝子はどうなのだろうか。物質がそのまま情報を表現している世界は、情報が物質と乖離して抽象的に駆動されているデジタルコンピュータと同じロジックでは捉えにくいところがある気がする。
 とはいうものの、自分は「長期的なこころの病」は、直接的にはハードウエアの障害に起因すると考えている。たとえば、脳内の生理活性物質の分泌のバランスが崩れている、ニューロンやシナプスが消滅している、などである。
 環境がそれらの変化を長期にわたって強要してしまい、ホメオスタシスでの復帰の範囲を超えてしまうと、可塑性が崩れて戻れなくなってしまう、という感じで捉えている。あくまで「物理層」の変化が長期化の根本にあると思う。

 その”ハードウェアの障害”を原因として、並列的に生じているであろう2つの精神状態、「うつ」状態と「記憶の問題」を、後者が前者の原因であるかのようにみなし、記憶のチューニングによって欝を軽減しようとしている。原理的に何かおかしいと思えた。

 人間の脳と心は、コンピュータ的な意味でのソフトウェアとハードウェアの区別はしにくいのかもしれないが、しかしそれでも「明らかなハードウエアの障害をソフトウェア面でカバーするのは無理」な点はコンピュータと同じだと思う。変えるのであればその個体を含む環境の方である。その機能で適切に運用できるような環境を構築しなければならない。つまりその個人に合わせて個人が触れる周辺世界を作り変えなければならない。それが大規模な場合には福祉社会に、それほど大規模でない場合には家族あるいは施設に、と言うことになるのだろう。あらためて「生きる」「生かす」「生かされる」ということの意味を考える。

 5時近くに会場を辞し、地下鉄で札幌方面へ戻る。大通り駅で降り、スープカレーのレトルトを探してみる。これがなかなか見当たらない。三越で聞いてみると、北海道の産物を扱うお店で集中して扱っているらしい。探してたどり着く。
 たどり着いてみると、なるほどこれはすごい。たくさんある。発送してくれるとのことで、いろいろと買い込んでみる。ただし、ひとつあたり500円から1000円近くするものが普通で、それほどたくさんは買えない。

 その後すすきのに戻り、スープカレー「suage+」に行き、牛モツのスープカレーを食べる。うまい。が、舞茸のトッピングは大きすぎて中まで火が通っていない気がした。蛇足だったかもしれない。

 コーヒーが飲みたくなったので、宮越屋珈琲へ。エスプレッソをダブルで頼み、飲みつつ旅の記録をとる。ようやく胃腸の様子は正常化したようだ。もっとも、本日一日で正露丸を4粒も飲んでいる。

 宿に戻り、HxHを宮殿突入の直前まで読み進める。実はこのあたりは話の流れがあまり良くわかっていなかった。が、あらためて読んでも実はあまり良くわからないのだった。パームが最初と最後がまるで別人である(というか登場初期はあきらかに伊藤潤二キャラ的な危ない人だ)。また、勝負に負けたのになんでゴンとキルアが討伐隊に加われたのか、そのあたりがぴんと来ない。が、面白いのでたぶん良いのだ。さすがである。1時ころに寝る。


二日目

 二日目は、午前中は自分的に見るべきものがなかったようにみえたので、自由行動とした。札幌駅付近の本屋に出向いてスープカレー関係の本を探したが、一冊もない。そういうものらしい。またもやレトルトをいくつか買い入れて、地下鉄に乗って「マジックスパイス」に向かう。

 有名店である。チキンの一番普通のものとラッシーを頼む。たしかにうまい。世間で売られているこの店のレトルトとも違う。スープまですべて飲み干す。レモンとライムを混ぜた酢も良い。納得して店を出て、横にあった黄色いランボルギーニを心行くまで観察して後にする。すげー、スーパーカーだぜ。なおランボルギーニはカウンタック以降はスタイルがすべてカウンタックの亜種になってしまっているので、自分的には見た目で車種の区別がつかないのであった。たまにはミウラとかウラッコとかも真似ればいいのに。

 さて午後は学会である。「ロボットらしさ、人間らしさ」という感じのテーマで、阪大の石黒先生が登場された。とても面白かった。アンドロイド研究も、アンドロイド自体も進化している。海外の学会に、ご本人ではなくイシグロイドのほうを派遣していたのに驚いた(ファーストクラスではなく、荷物搬送で済むので、そのほうが向こうにも喜ばれているとのこと。ほんまかいな)。小さな抱くコミュニケーション用のぬいぐるみもすごかった。複数のモダリティで表現すると、一気に「らしさ」が向上すると言うのもなるほどであった。不気味の谷が「即抑制」の効果によるものではないかと言うのもどなたかがおっしゃっていて、ああそうかもと思った。

 次はそのままの会場で、今度は「脳と心」の話が始まる。なぜか先輩のMさんが主催者側としていらっしゃる。こうした方面へのご興味がおありだったとは思っていなかったため、少し不思議な感じがした。

 こちらもとても面白く、茂木健一郎さんがいい味を出していた。途中、ギブソニアンの人に半ばキレ芸で挑発していたのが面白く、ある意味「よく言ってくれた」と感じた。この人いいなあ。テレビで見ていたときには正直うさんくささいっぱいだと思ったが、本物はちょっと違った。探究心の真摯さは見習うべきものがある。

 この二つで学会の元は十分取ったと思えた。普段の教育業務が嫌いなわけではもちろんないのだが、ときどきこうした知的好奇心を満たしてくれる現場に立ち向かわなければ、いろいろダメになると思った。

 本当は先輩にご挨拶のひとつもしようと思っていたのだが、人が多く、タイミング的にうまく行かず、残念ながらそのまま撤収する。またいずれ学会などでお会いすることもあろうと期待する。

 その後夕方に札幌に戻り、街をうろうろする。
 とらのあなで同人をあさり、夕食を食べる場所を探して歩いていると「スープカレーバー」なるものを発見したので突入する。ラム肉のカレーを頼んでみるのだが、これがスープが薄く、スパイスも足りずにやや困った。スープカレーは一歩間違えると微妙なものになってしまうのだなあ、とわかった。

 宿に戻り、HxHをほぼ最後まで読んで眠る。続きがありそうではあるものの、本当はあれはもうあれで終わりなのではなかろうかと思った。話を広げて未来を垣間見せて終わる、と言うのはある意味理想的だ。続きが読みたいと思わせれば作者としても成功だろう。実際に続きが読めれば嬉しいが、読めなくとも問題ない(というか仕方がない)終わり方だと思った。
#まさかこの後、本当に連載が再開されるとは思っていなかったことを白状しておく


三日目

 翌朝8時に起きて朝風呂に入り飯を食い食い学会へ。ポスター発表を眺め、いくつか質問をし、昼ごはん時に少し早めに引き上げて地下鉄に。白石のスープカレー屋に出向く。ここが誤算で12時開店。古本屋で時間をつぶして改めて突入する。
 オーソドックスなチキンを頼むが、実のところこの店舗もスープがやや薄く、少しがっかりする。スープカレーはだしもスパイスもけちけちしてはいけないのだなあと改めて知る。

 学会に戻り、今度は書籍を見て回り、必要そうなものをいくつか発注しておく。
 2時過ぎからカテゴリによる指示忘却の話を聞く。近しいカテゴリのものを思い出しておくと、元のターゲットを忘れてしまうらしい。これはたしかによくある。自分の場合は、知り合いに同じ苗字の人がいる学生はなかなか苗字が覚えにくいという現象がある。これも側抑制に近いのかなあ。

 さて、最終日の夕方になってようやく自分のポスター発表である。最終日のかつオーラスのセッションと言うこともあり、なかなか人がいない。お隣の「痛みとワーキングメモリ」にはずいぶん人が来ていたような気もしたが、自分のところは数名であった。
 しかも、同じ発表時間帯に「顔の新奇性と確信」のテーマでfMRIをやっている人がいて、高確信度時の新奇性(新項目)はアミグダラ、高確信度時の既知感(旧項目)は右の海馬(だったと思うが詳細忘れた)が活性化する、と言う結果を発表していた。もう自分の研究はいらないかもしれないと思った。ただ、確信度生成系と記憶系がつながっていない、と言うことの証明は自分でして見たいとも思った(データ処理も自分で納得して行いたい)。しかし、不思議なことに、記憶関連のジャーナルに出すとリジェクトされると言う話もあり、社会的認知で行くしかないのだ、と言うのはおかしなことだと思った。

 ともあれ、5時半になったので撤収する。会場を後にし、地下鉄に乗り、大通り駅で降り、同人屋を適当にめぐり、少し考えてカレーラーメンの店「ラーメン研究所 我流る!」に歩いて行く。これがとてもうまかった。今回の旅で一番のインパクトだったかもしれない。昔「うまいカレーとうまいラーメンが一緒になったら、それはとてもうまいだろうなあ」などということを考えていたこともあるが、おそらく正しいのだった。

 とはいえ、ラーメン一杯では腹はなかなか満たされない。そこで、その近くの人で一杯の”観光客目当て風味”のすし屋にて、貝類を中心に少し食べる。観光客相手風味とはいえ、さすが北海道、普段自分が食べているものとは厚みがぜんぜん違った。とてもうまかった。そして、今回昼食・夕食でカレー以外のものを食べたのはここだけだった(朝食はリフレのバイキング)。
 そこを出て、新装開店したばかりのオーガニックカフェに入りエスプレッソを飲み、これを書いている。今日も1万1千歩以上歩いている。腰もつらくなってきた。

 9時半に宿に戻り、風呂に入り、これも前から気になっていたJOJOの第6部を一通り読む。面白いことは面白いのだが、通して読んでも細かいところが良くわからなかった。マンハッタントランスファーは結局実在したのか、しないのか? プラネットウェイブスとか、なんつうか極端すぎるだろ。思いつくのが不思議な能力だと思った。ほかにも全般的にスタンド能力が特殊すぎて理解しにくいものが多い。ディオの息子たちとかカタツムリ(あれもやっぱり伊藤潤二ネタなんだろうか)とか。全般的に6部は、自分のような素人には理解が及ばない部分が多い。最終的な結論も含めて、P.K.ディックで言えば「ヴァリス」方面をイメージさせられる。などなど、いろいろ考えつつ2時半に眠る。


最終日&まとめ

 翌朝9時に起き、風呂に入り、11時ころにチェックアウトする。この「リフレ」は入館時から24時間が制限なので、事実上朝のチェックアウトの時間的制約がない。これはとても助かる。隣のクロネコヤマトで服やカレー等の荷物を送ってしまい、身軽になる。これもとてもとても助かる。

 以前と同様、このリフレはありがたい宿であった。地方に出向くごとにカプセルやサウナに宿泊しているが、このリフレは、カプセルホテルとしての品質は日本一クラスであろうと思われた。特に、トイレや風呂場について、ぱっと見で汚れている印象がほとんどないのは、この手の宿としては稀有だ。数年前に行った際にも同じことを感じたので、よほど気を配っているのだろう。価格としては「カプセルホテル」の中では高いほうなのかもしれないが、価格以上の価値だと思う。

 最後に、初日と同じ「GARAKU」に行こうと思っていたのだが、なんと開店の11時半の前にすでに店の前に20名以上の行列ができていた。これはすごい。本当の人気店舗だ。あきらめて、もう一店舗近くにあるスープカレー店に出向いたところ、なんと夕方〜朝方までの営業のみで、昼はやっていない。仕方なく歩いて「Savoy」に。が、ここもなぜかやや薄く感じてしまう。なぜだろうか。スープカレーは出汁の濃さが必須なのだと思い知る。


 ここでついでに今回のカレー喰いのまとめをしておくと、スープカレーは確かに進化している。いるのだが、クオリティの幅が出ているとも感じた。ともかく「薄い」スープカレーはいただけない。ある程度の味(だしとスパイス)の濃さは必要条件であり、各店の工夫はその”上”にあって欲しいと思うようになった。
 今回の”インパクト大”は「ラーメン研究所 我流る!」のカレーラーメン、人気の「GARAKU」、そしてやはり名店「マジックスパイス」であった。
 自分用の土産(というより昼食用)としていろいろ買い込んだスープカレーのレトルトも楽しみである。
 #このとき買ったレトルトカレーは1年以上かけてお昼ご飯として食べつくした。全般的にとてもおいしかったので通販を試みつつある

 そのまま歩いて札幌駅へ。途中、学生諸君への簡単な土産と、またもやスープカレーを買い込み、結局また重くなる。空港行きのライナーを1本スルーしておいて先頭で乗り込み、そして『指輪物語』の序盤を読み直していく。何回読んでも「あれ、こんなところあったっけ?」という部分があり、どうも自分はわかっていないようだ。特に地理関係とか。

 空港のフードコートにて休む。子供がチャイルドコーナーでたくさん走り回っている。その様子がうちの二歳児とそっくりで、みんな同じなのだなあ、と思う。その後少々待ち、無事に飛行機に乗り、無事に飛び立って、無事にセントレアに降りる。やれやれである。

 だが、むしろここからが問題だった。

 行きに浜松西インターに車を置いている関係上、どうしても行きと同じe-wingのバスに乗ることになるのだが、夕方の時間帯は渋滞に引っかかる。予定では90分のところを120分かかって7時40分にたどり着く。その間、やはりとても退屈だった。眠ることもできなかった。これがあるので帰りは本当は新幹線で来たいのだが、そうなると駐車場まで車をどうやってとりに行くのか問題になるのだった。この点は今後も方法を模索することになりそうだ。

 帰宅途中、浜松欧風カレーの雄「オータム」さんで旅の最後の夕食をとり、車で帰宅する。

 これで旅は終わった。よく歩いた。へとへとである。そして今回もよくカレーを食べた。というより、カレー以外にほとんど食事をしなかった。カレー喰いとしてそれなりに納得した旅でもあった。


 そして、真の艱難辛苦はこの後に控えていた。
 恐ろしいことに、家族が増えることを見越して、なんと明日から一人で家の”引越し”なのである。
 本当に何とかなるのだろうか。ならないのだろうか。うーむ。

<完>

初出:本稿(2014/09)

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