宇宙船モノアニメ考察


(学園祭パンフレットより)ここでは日本産の「宇宙艦船ものSFアニメ」というカ テゴリーで、各年代別にいくつかの作品をピックアップした。中には必ずしも艦 船が中心となっていない作品もあるが、そこは「作品中に宇宙船っぽいものが 出てきて、そこでドラマが発生している作品」ということでご理解して いただきたい。また、該当するカテゴリーのすべての作品をピックアップした わけではないこともあらかじめご了承いただきたい。

<上映作品>


<考察>

 以下においては、1970年代から2000年代まで、30年間にわたる作品の変遷から得られた印象に基づき、古典「宇宙戦艦ヤマト」を各年代ごとに作成した場合に「どのようなテイストに仕上がるべきなのか」を検討・考察した。

<年代別「宇宙戦艦ヤマト」考察>

●1970年代版

「西暦2199年、地球はガミラス帝国からの遊星爆弾により滅びの道をたどりつつ あった。地球人類は最後の希望を「宇宙戦艦ヤマト」に託し、ヤマトは遙かイス カンダルに向けて旅立つのであった。
 ヤマトは様々な試練を乗り越え、宿敵ガミラスを倒し、イスカンダルよりコス モクリーナーを持ち帰り、地球は救われたのであった」

●1980年代版

「西暦2199年、地球はガミラス帝国からの遊星爆弾により滅びの道をたどりつつ あった。地球人類は最後の希望を「宇宙戦艦ヤマト」に託し、ヤマトは遙かイス カンダルに向けて旅立つのであった。
 ヤマトは様々な試練を乗り越えるが、その途上に森雪の歌の才能が開花、彼女 の歌を敵に聴かせることで敵の洗脳に成功、帝国から離反したドメル将軍を筆頭 に、ガミラス帝国を倒し、イスカンダルよりコスモクリーナーを持ち帰り、地球 は救われたのであった」

●1990年代版

「西暦2199年、地球はガミラス帝国からの遊星爆弾により滅びの道をたどりつつ あった。地球人類は最後の希望を「宇宙戦艦ヤマト」に託し、ヤマトは遙かイス カンダルに向けて旅立つのであった。
 ヤマトは様々な試練を乗り越えるが、「ススム、だーい好き!」と叫ぶ艦長森 雪他の女性乗組員たちが天才的な能力を発揮し、ガミラス帝国に迫る。しかし、 実はガミラス帝国はかつての地球人類の生き残りでなのあった。そこであれやこ れやといろいろあったものの、ヤマトは無事宿敵ガミラスを倒し、イスカンダル よりコスモクリーナーを持ち帰り、地球は救われたのであった」

●2000年代版

「西暦2199年、地球はガミラス帝国からの遊星爆弾により滅びの道をたどりつつ あった。地球人類は最後の希望を「宇宙戦艦ヤマト」に託し、ヤマトは遙かイス カンダルに向けて旅立つのであった。
 地球人類はほとんど滅びかかっており、子孫が生まれなくなっていた。そこで 人類はクローンなどによって優秀な乗組員を育てたが、それがなぜかほとんど全 員が女性で、乗組員の一人だけが男であった。しかも、その乗組員はクローン家 系的に皆「家族」という扱いになっており、たった一人の男性乗組員は数百名の 美少女ぞろいの女性艦員から「お兄ちゃん」として親しまれるのであった。おか げさまで日々あんなことやこんなことの繰り返しで「そんなばかな」と叫び続け る古代進お兄ちゃんを乗せ、ヤマトは様々な試練を乗り越え、実は美少女ばかり だった宿敵ガミラスも倒し、やはり美少女だらけのイスカンダルよりコスモクリー ナーを持ち帰り、やっぱり美少女ばかりが地下都市にひしめいていた地球は救わ れたのであった。めでたしめでたし」


 さて、次なる2010年代の「宇宙戦艦ヤマト」を皆様ならどう予想するだろうか。


初出 静岡大学SF研究会浜松支部 学園祭用パンフレット(2004) 
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