****** | 中央公論社 | 1981 | ****** | 1960円 |
変わったカレー料理を作ってみたかったらこの本は外せない.
このシリーズには他にも218号で「カレーの本」,193号で「壇流おかず100選」がある.
まず基本の作り方?が5種類(フランス風,イギリス風,インド風チキンとラム,即席ルーを使ったパイナップルカレー),またお惣菜のカレーとおもてなしカレーがいくつか.よく眺めると,確かに「ひと味違う」メニューのレシピが多い.さざえカレーはわたを裏ごしして入れると言うこくの出しかただし,わかさぎのカレー炊き込みご飯はなんとなく茫然とした.ピーマンの詰めもの料理の全体をカレーで煮こんでしまうというのも,言われて初めて気がついた.山菜カレーもいけそうだ.だがなんといっても,「カレー凍鶏(とんちー)」に尽きる.カレー風味の冷たい煮こごりなのだが,こんなものカレーという範疇では考えたこともなかった.
「赤坂 タージュ」「赤坂 からす亭」「赤坂 モティ」などが紹介されている.しかし,この本は初版が古いためか,重版後に調べてみたら既にお店が無くなっていた,ということが多く認められている.下手をすると5分の一くらいの店が「○○は閉店しました」とただし書きがついている.私の経験でも,カレー店舗はいつまでも「そこにある」とは限らないものだ.何故なのだろう.また「東京唯一のタイ料理の店 チェンマイ」という紹介も時代を感じさせる.
語りの部分では,簡単なカレーの歴史と出自,日本における大衆化がある.また中村紘子さんのカレーエッセイも面白い.あまりに辛いと背筋が寒くなってしまうものらしい.また「インドの食生活」という1ページの解説には,インドの東西南北における食べ物の相違が記されている.