010 | 新・儲かるメニュー カレー | 柴田書店 | 1985 | ISBN4-388-00776-5 C2377 | 2570円 | メニュー・店舗紹介 レシピ 食材紹介 蘊蓄 |
これからカレー屋をはじめようという人にもってこいの一冊.柴田書店なので,視点は食べる側ではなく作って食べさせて生活を成り立たせる側からの記述である.
冒頭,有名店舗のメニューがずらりと写真で並んでいるのを眺めているのがとてもカラフルで,実際に世間にどんなカレーがあるのかがよくわかる.基礎として<日本風カレー><インド風カレー><欧風カレー>および<ナン,チャパティ>の写真入り説明がある.各店舗のレシピの説明は主として文章で行われている.
店舗事例研究では,東京の有名店28件を分析し,各店がどのようにして商売を成り立たせているのかを分析している.立地や想定する客層によって,同じカレー屋でも内実はずいぶん異なるとわかる.アジャンタの例でいけば「客層は昼間は近辺のサラリーマンやOLが大半を占めるが,夜はカレー通の常連からデート中の若いカップルまでかなり幅が広く,遠くからやってくる客も多い.武道館の近くという場所柄,コンサートやイベントがある夜にはかなりの客数が見込まれる」ということで「若い客でも無理なく払えるように,客単価を1500円に押さえ」て「日商80〜90万,月商高2400万という繁盛店となっている」そうである.巻末には掲載店の住所電話番号の一覧があるが,1985年の段階のものであるので注意.
「業態別カレーで儲けるコツ」なる一章では題目のとおりにいかにしてカレーで食って行くかを分析している.ファーストフードタイプの場合には「客単価を低く」「提供時間は2分以内」「メニューは絞りこむ」「基本となるソースは1種類に」「くせのない飽きさせない味」「ドリンクメニューの設定」「テイクアウト商品を」,ファミリーレストランタイプでは「客単価は千円以内」「看板メニューの設定」「カレーライス以外のカレー料理を」「セットメニューで客単価を向上」「ランチタイムの工夫」,ディナータイプレストランでは「原材料費は35%」「オリジテリティーを追求」,さらに高級店では「薬味で付加価値をつける」などである.
食材の紹介が数ページにわたっている.肉類から野菜,各種調味料が説明されている.いずれも作って食べさせる側の視点からの記述で,仕入れや仕込みのときに参考になるような情報としてかかれている.「ブロイラーは大きさによって特大,大,大小,中,中小,小の6種類あり,さらに肉づき,脂肪のつき方,鮮度,外傷等によってA級,B級,級外に分けられる」という具合.業務用ルーやレトルトパックなどの説明も簡単になされている.簡単なスパイス解説も約20種類.