016 | 料理百科 01 特集 カレー | 柴田書店 | 1997 | ISBN4-388-80519-X C9477 | 1000円 | レシピ 店舗紹介 蘊蓄 |
作る側・経営する側からの視点で編集されている「料理百科」シリーズの,創刊号にして第1回カレー料理特集.
有名店の基本カレーメニューのレシピ,基本のカレールーをどのように使い回すか,など普段我々素人があまり気にしない側面からの記述が連なる.我等素人も一読損なし.レシピ面では,巻頭に銀座「資生堂パーラー」の「ビーフカレーライス」がルーとベースソース別に掲げられている.次が「青山アクバル」の「ほうれん草カレー」,赤坂の「タージ」の「豆カレー」,高田馬場の「ラージプート」の「マトンカレー」,阿佐ヶ谷の「ピッキーヌー」の「レッドカレー」,神田の「松栄亭」の「カレーライス」,あるいはニューヨークの「ペナン」の「チキンカレー」など,全方位に展開したレシピが挙げられている.その他に,業務用のカレールーを使いまわして和風のメニューを展開させる視点や、カレー南蛮の解説もある.
店舗紹介としては,レシピの紹介部分以外に,大阪「インデアンカレー」(クイックサービス),横浜の「アルペンジロー本店」(特徴のある内装と提供方法),大阪の「伽奈泥庵」(インド風),ホテルオークラの「カメリアコーナー」(純洋風),吉祥寺の「カルダモン」(純南インド風),大阪の「gautama」(北インド風),六本木の中華料理店「香妃園」,湯島の「サンライズ」(もと喫茶店),品川の「シーギリヤ」(スリランカ風),大阪の「メサイ」(タイ料理),銀座「デリー」(日本インド風),新宿の「パク森」(工夫洋風),大阪の「ボンベイキッチン」(ボンベイ風),本郷の「ミュン」(ベトナム料理),埼玉の「むささび亭」(個性派.スクールバスを改装して利用し,カレーはチキンのみ.おまけに営業は金土日のみ)が挙げられている.
作り方はもちろん,経営の方針についての記述が目立つ.たとえば,フランチャイズ「CoCo壱番屋」の戦略(あまり特徴のあるカレーだとリピーターにならない,ために意識的に特徴のないカレールーに仕上げている、またCoCo壱番屋は本部がロイヤリティを一切とらない)など,普段我々素人があまり気にしない側面からの記述が連なり,開眼させられる.一読損なし.