017 | 素敵ブックス カレー大全科 | 浜内千波 竹内富貴子 | グラフ社 | 2000 | ISBN4-7662-0582-0 C9477 | 1300円 | レシピ 謎の蘊蓄 |
家庭料理用のレシピ集.最初のレシピこそスープストックを取って作るカレーを紹介しているものの,次からはなぜか「ハウスの諸カレールー」を使ったレシピが並ぶ.そういう本らしい.一応カレー粉も自家製にするべくレシピがあるが,配合比率も示されていないようだ.
メニューとしては「チキンカレー」「さいころステーキカレー」「ラタトゥイユ風カレー」「えび団子と野菜カレー」「白身魚とじゃがいも団子のカレー」「ハンバーグカレー」と,家族むけにいかに飽きないで食べさせるか,という印象のレシピである.
冒頭の東京大学医学部助教授 医学博士の“丁宗鐵”先生による「カレーが人の体に及ぼす影響」というデータが驚きものである.粥と比較して,カレーを食べた場合には手と脚の温度が冷えにくい,また脳血流(!)においてはヘモグロビン量で測定すると明らかな増加が見られ,直接に脳血管内の血流を計測しても増加が確認できた,とある.またカレーを食べた30分後には「集中力を示す脳波が刺激される傾向が確認され」た,とある.もしきちんとしたデータがあるのであれば見てみたいと思う.しかし,確かにカレーと漢方は成分が近いとはいえ,「カレー」と「脳血流」というほとんど常識的に結びつけないものに対して「関係を調べてみる」ということを考えついたのはなんというかすごいものだ.心理学を専門にしている自分としては、ここはやはり「カレーを食べた後の単純作業成績の向上」とか「カレー摂取後の記銘能力の改善について」などという側面からせめる必要があるのかもしれないような気がしないでもないようだ。