019 | スパイスの本 | 桐島竜太郎 | 婦人画報社 | 1961 | 1200円 | スパイス紹介 蘊蓄 レシピ |
前半がスパイスの解説で,後半にそのスパイス群を使ったレシピが挙げられている.基本的に文字だけであり,懇切丁寧というわけではない.
オードブル,スープ,カレー料理,ソース,煮込み料理,焼きもの,炒めもの,サラダ,揚げもの,ご飯,和風の薬味,漬もの,お菓子,飲みものとお酒,という分類で(はなはだ簡単に)各々数種類のレシピが挙げられている.
古い本だが,内容的にはスパイスの歴史にも触れ,ハーブ類も含めて約70種類の紹介がある.「お料理をはじめる前に」という段で「スパイスには強さを表す単位がない」「人間の受け入れる個人差が大きい」,したがって「自分の鼻と舌で決めるしかない」「極少量ずつ使う」というのは現在でも活きる忠告だろうと思う.また,英語と日本語の嗅覚についての言葉の使い方に関連して「快いフレーバーを作り出すこと」がポイントであり,「スパイスのアロマがアロマと感じられるようでは“過ぎたる”ものではないか」というのも同様だろう.また、C&Bのカレー粉がアメリカとイギリスでずいぶん違う,というのは確かに言われてみればそのとおりかもしれないが,気がつかないものだ.
古い本だが, 内容的にはスパイスの歴史にも触れ,ハーブ類も含めて約70種類の紹介がある.料理に対して,味ばかりではなく,香りや見た目に影響を与えるものを「スパイス」とし,コカや朝鮮人参,大根おろし,トリュフ,ホップ,またたび,酒類,おひつの木の香り,あるいは合成エッセンス類まで含めて紹介している.こういうところはむしろ最近の本にはあまり見られない姿勢で,かえって新しいのではないだろうか.