020 | カレーライスと日本人 | 森枝卓士 | 講談社現代新書 | 1989 | ISBN4-06-148937-2 C0230 | 660円 | 蘊蓄 |
日本のカレー界では“大王”の異名を取る森枝氏の資料の集大成.
「カレーとはなんだろう」という疑問から,大英図書館にまで出向いてカレーのことを調べている.料理人でもないわけなのに,こういう人が出現するくらい,日本におけるカレーというものは特異的な位置を占めているとわかる(あるいは森枝さんが特殊な人なのかもしれないが).しかしそのイギリスにおいてもあまり資料がなかった,というのは不思議だ.C&Bはすでにカレー粉を自社で生産していない(ブランド名はつけているが外注)というのにも驚いた.まあもともとカレー粉専門メーカーだったわけではないので,これは自然な流れなのかもしれない.日本の明治時代のカレーのレシピを調べて,実際に作成しているところはさすがだと思う.将来,日本のカレー製品(固形ルーやレトルトパック)が東南アジアやインドに広がっていくのかもしれないというのは,確かにそのとおりかもしれないけれど,少し寂しい気がした.