025 | ハウスポケットライブラリー2 唐辛子遍路 | ハウス食品 | 1989 | 600円 | 蘊蓄 レシピ |
ハウス食品が発刊しているポケットライブラリーの一つで,唐辛子というスパイスの一つに集中してさまざまな事柄を語っている.カレーをめぐるなかで,こうした一つのスパイス軸からの視点も面白い.
レシピとしては,中華の「宮保生蠣(かきの辛味炒め)」「麻婆豆腐」「マナガツオのぴり辛煮」,インドネシアは「サンバル・ゴレン・ウダン(えびの辛味ココナッツミルク煮)」,カンボジアは「プレー・コー(生牛肉のサラダ)」,タイは「ゲーン・ガイ(鶏肉のカレー)」,インドは「ムルグ・カリー(鶏肉のカレー)」.ベトナムは「ブン・ホー(牛肉麺)」,ハンガリーは「グラーシュ(牛肉のパブリカ煮込み)」,ガーナは「ペパースープ(唐辛子スープ)」,ペルーは「セビッチェ(魚介の辛みマリネライム風味)」,メキシコは「ポージョ・エン・アドーボ(若鶏のアドーボソース)」,トルコは「ピレゾラ・ビベル(骨つきラムの唐辛子ソース)」などである.この本のオリジナルレシピとしては「チリすいとん」「ぴりぴりスペアリブ」「デビルドチキン」(チョコレートソース!を絡める)「ハレア・デ・チレ」(唐辛子ゼリー)などがある.
唐辛子の歴史,栽培農家の様子,アジアの唐辛子事情をめぐる対談,唐辛子 の科学的考察,唐辛子をめぐる文化,そして世界各国(中華・タイ・インド・ ハンガリー・スペイン・ガーナ・ペルー・トルコ)のレシピである.唐辛子が, 植えられた土地の気候風土に応じて,あっという間に姿形や味を買えていくと いうのはどういうことかと思った.その昔、江戸時代の当初くらいは日本でも 「うどんに胡椒」という組み合わせが普通だったらしいが、それがいつのまに か唐辛子にかわり、さらに辛みに風味を点けるために七味唐辛子などが生まれてきたというのは面白いと思った。また,吉田よし子vs森枝卓士というこの世界の大物同士の対談も見物だ.