039 | アジア・キッチン旅行 | 高崎 篤 | 徳間文庫 | 1998 | ISBN4-19-890925-3 C1072 | 857円 | 旅行エッセイ レシピ |
食いしん坊の方々が「現地でその土地の材料をつかって自分で料理をする」という,夢のような行動を実践した,その過程と結果を楽しいエッセイ(とレシピ)にまとめている.食いしん坊かくあるべし.
レシピは,その場で作ったものを主として文章で記述してある.韓国では「ナムル」「ジョン」「白菜キムチ」「ズンドゥブチゲ」,香港では「エビと豚肉のシュウマイ」「菜心の炒め物」「シャコのピリ辛揚げ」「クレソンのスープ」「とこぶしのにんにく風味蒸し」,バンコクでは「トムヤムクン」「牛肉のサラダ」「タイ風あさりの炒め物」「豚挽き肉入りタイ風オムレツ」「鶏のグリーンカレー」,サイゴンでは火が使えなかったため「生春巻」,そしてバリでは「鶏の唐揚げ」「鶏のスープ」「サラダ」「インドネシア風焼きそば」「赤玉ねぎの揚げもの」などである.各章末に,こうした自炊旅行をするための土地によるコツも記してある.また巻末には各国の言葉で必要な用語が書かれているという至れり尽くせりの丁寧さ.
同じように東南アジアに出向いても,森枝さんとは違った視点で面白い.また,高崎さんという方は軽めの文章が実にうまいので,読んでいて楽しい.しかしこういう本は読んでいると本当にお腹が空いてくる.夜中に読むものではないようだ.さもないと深夜に冷蔵庫を開けて台所に立つ羽目になる.