048 | 素敵ブックス スパイスの知識と料理 | 有元葉子 | グラフ社 | 1997 | ISBN4-7662-0445-X C9477 | 1500円 | スパイス紹介 レシピ |
前半にスパイスの紹介,後半にレシピを擁する総合的スパイス料理解説書
後半にレシピがたくさんある。スパイスの料理として「サラダ」「漬けもの マリネ」から順番に並んでいるのは少し珍しい。サラダとしては「きゅうりとカリフラワーのベトナム風サラダ」「モヤシのカレーサラダ」「生春巻」などがあるが、簡便さという側面での圧巻が「ピンツィモーネ」であろう。手抜き料理の大好きな私もおもわず実行に躊躇するくらいである。「漬けもの マリネ」では「野菜の中華風漬けもの」「野菜のスパイス漬け」「イワシのペッパーマリネ」「チキンブロストのマリネ」「大根のマンダリン漬け」など。次に「煮もの」では 「鶏とレバーのカルダモン煮込み」「ぶたのパブリカ煮込み」「豆腐とエビの唐辛子煮込み」など。「焼きもの」としては「ラムのソテー オレンジ&カルダモン風味」「ナスのグリルマリネ」「焼きえびの香菜ソース」など。「炒めもの」は「麻婆豆腐」「絹さやのコリアンダー炒め」「牛肉のクミン炒め」など。さらに「揚げもの」では「いかの衣揚げ」「カボチャのフライ シナモン風味」「揚げカシューナッツ」など、「蒸しもの」では「ぶたとポテトのローズマリー蒸し」「蒸し野菜のグリーンソース」など、「ご飯もの・めん類 パン」では「ベトナム風ハーブ五目御飯」「サフランのリゾット」「ガルバンゾーの炊き込みご飯」「クスクス」など。「スープ」では「ゴボウとじゃが芋のクリームスープ」「インゲン豆のセージスープ」「魚のスープ(しかし見た目はほとんどトムヤムクンだ)」。ついでに最後に「お菓子」もあり「キャラウェイ入りクッキー」「マフィン」「カルダモンケーキ」「スイカのミントマリネ」「ブドウのローズマリー風味」など。さらにさらに「ビネガー&オイル」では「タラゴン入りビネガー」や「クローブ入りオイル」など。ついでに「たれ、ソース、ドレッシング」では「香菜とにんにくの辛みだれ」などの“つけだれ”がある。さらにさらにそれだけではすまなくて、そのあとにある「日本のスパイス」という章では「そばのサラダ」「タケノコの木の芽ドレッシング」「身欠き鰊の酒、サンショウ漬け」などがあり、とにかくもう全体的に盛り沢山。ただし作り方の説明は文章が主で、絵は「完成写真」に加えて「途中経過」が一枚ある程度(それでもあるのはすごい)。
最初の項目に「スパイスのはじまり」として歴史を、「スパイスとは何でしょう」として定義と成分を、「スパイスと料理」として料理における位置づけなど、を簡単に解説している。
「スパイシースパイス」は、五十音順に「アジョワン」から始まって「アニス」「オニオン」「ガランガル」「クミン」「シャロット」「ジュニパーベリー」「ディル」「バニラ」など、全体で33種類、「ハーブスパイス」は「オレガノ」「カフェライム」「タラゴン」「チャービル」「ベイ」「レモングラス」等の15種類。 それらに加えて、最後に「日本のスパイス」として日本で昔からつかわれてきたスパイスを示している.これが「さんしょう」「ワサビ」「しそ」「三つ葉」「ねぎ」など。 ちなみに,この「日本のスパイス」だけをつかって「純粋日本カレー」が作れ ないだろうか。和風スパイスの性質から,いわゆるインド的なものとはずいぶんと違ったナニかができあがるのではないかと思われる.たぶん「辛いぬた」のようなものになるだろうという気もするが。タンドールというお店には,「梅カレー」というメニューがあり,梅干しと紫蘇をペースト状にして加えたカレーがあるそうなので(No.014,料理百科43)一度試してみるのもいいかもしれない.