055 | SPICES 実用版スパイスブック | Jill Norman | 山と渓谷社 | 1996 | ISBN4-635-58023-7 C0077 | 2060円 | スパイス紹介 レシピ |
妙にマイナーなスパイスまで押さえているスパイス総合解説書。イギ リスの1990年のスパイス本の翻訳。
ジル・ノーマンさんは英国のスパイス研究科ということで、中世の歴史を
背景としたスパイス(貿易)の解説が、短いけれどもとても詳しい。また、スパイス
にもっともよく利用される形容詞は、英語では「アロマティック」と「プンジェ
ント」であるとか、ディル・フェンネル・アニス・キャラウェイ・クミン・ス
ターアニス葉、どれもみな「アニスノート」と表現される香りをもつグループ
だとされる、など、専門的な要素を端々に漂わせている。
最後に、各国におけるスパイスの呼称の一覧表があるのは便利。
「スパイス図鑑」には、スパイスの植物画と生の状態、乾燥状態と粉末状態、
そしてそれらを加工した製品の姿が掲載されていて大変わかりやすい。種類と
しても、スクリューパインとかマーラブとかニゲラとかアサフェティダとかパラダイスグレインとか,これだけ読んできても、なおまだこの本で初めて見る(とい
うか、この本でしか見ない)スパイスがいくつもあるのだった.この世界はま
だまだ深いとわかる.
また「世界のミックススパイス」として、日本
の「七味唐辛子」や「ごま塩」を筆頭に、中国の「五香粉」、インドネシアの
「サンバルウラック」「サンバルジャック」、タイの「ナムプリ」「カレーペー
スト」、インドの「基本のカレーパウダー」「サンバルパウダー」「ベンガル
のパンチフォロン」「ガラムマサラ」「チャットマサラ」「グリーンマサラ」、
スリランカの「カレーパウダー」、「コロンボパウダー」、湾岸諸国の「バハ
ラット」、イエメンの「ザグ」、エチオピアの「ベルベレ」、チュニジアの
「タビル」「ハリッサ」、モロッコの「ラセラヌー」、北アフリカの「ザーター」
、さらには中世ヨーロッパの「スカッピのミックススパイス」、近世ヨーロッパ
の「キャトルエピス」「メランジュクラシック」などなど、まだまだあるのだっ
た。さらにブレンドマスタードだけで見開きでページを使って12種類の解説を
していたりする。さすがにヨーロッパの本は詳しい。
なお、図鑑の写真の取り方もなかなかおしゃれで楽しい。